EXCEL消費税増税・軽減税率対応

[EXCEL]エクセル消費税:10%税込価格を算出する時の注意点

10月1日の消費税増税にあわせて「現行の税込価格表を新税率に変更しておいて下さい、以上」と、いつもの大雑把な指示が飛んできた場合に気を付けるべきポイントを押さえておきましょう。丸投げ指示を出す人の再教育は増税後にあらためてやることにして、ポイントは2点あります。

(1)軽減税率に該当するかどうか

消費税増税が実施される10月1日からは「軽減税率」も同時に導入される予定です。「軽減税率」とは特定の品目に限り消費税率を8%に据え置くもので、主に食料品を中心に適用されます。食料品の中でも酒類等、品目により税率が10%に上がるものが混在することになるため、食料品と食料品以外を扱う業種はもちろんですが、食料品だけを扱う業種にとっても複数の税率に対応しなければなりません。

(2)現行の税込価格の生い立ち

「端数処理」とは税額の算出時に小数点以下の「端数」が出た場合、どのように処理されたかという「生い立ち」です。現行の税込価格の「端数処理」がどのようにされたのかがわからないと10%税込価格を正しく計算することはできません。

端数処理には「切捨て」「切上げ」「四捨五入」がありますが、法律で義務付けられている「税込表示価格」はいずれの方法で端数処理しても良い、とはされていますが、逆算するときも、好きな方法で端数処理して良いのではありません。

「8%税込み価格」から「10%税込み価格」へ一つの計算式で変換すること自体は簡単なのですが、「税込価格の生い立ち」に注意して作業しましょう。

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8%税込み価格→10%税込み価格を算出

8%税込み価格が100円とした場合、この100円から一つの計算式で10%税込み価格を算出する方法を考えてみましょう。

使う関数は「切捨て」と「切上げ」

端数処理する関数

切り捨て ROUNDDOWN(数値,桁)
切り上げ ROUNDUP(数値,桁)
桁とは小数点以下の表示桁数

(参考)四捨五入 ROUND(数値,桁)

8%税込み価格の生い立ちが「切捨て」の場合

8%税込み価格が「切捨て」で端数処理されていることを前提とします。

①切捨て(切上げ(8%税込価格÷1.08)✕1.1)→いったん1.08で割り戻して切上げて「税抜き価格」を出し、これに1.1を掛けて切捨てて「新税込み価格」を算出します。

式=ROUNDDOWN(ROUNDUP(A2/1.08,0)*1.1,0)

よくある間違い「生い立ち無視」

②100円という税込み価格がどのように「端数処理」されたものかを無視して、1.08で割り戻すといった間違いの例です。

よくある間違い「生い立ち無視」+「表示形式まかせ」

③税込み価格の「端数処理」の無視に加えて、10%税込み計算結果に対する「端数処理」もせず、あとはエクセルまかせ、というダブルミスの例です。

本体価格算出時の注意点

本体価格への逆算は、とにかく無条件で「切上げ」なのではありません。今回の例は「切捨て」で出した税込み価格を元にして逆算したから「切上げ」たのです。

切捨てて出した税込価格→本体価格逆算時は「切上げる」
切上げて出した税込価格→本体価格逆算時は「切捨てる」
これ以外の方法では誤差が出る場合があります。

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