いつも使っているエクセルシート上に「送信」「集計」ボタンを取り付けたら、こんな便利になった!という事例です。
チェーンストアの商品管理スタッフはひっきりなしに「在庫報告」や「商品要望」など、多数の品目について店舗から報告を求め、回収した報告をエクセルで集計しています。
この事例のチェーンストアとは、従業員2万名以上の巨大スーパーですが商品管理現場は自動化されていませんでした。チェーンストア内部の情報交換自体が複雑すぎるため、システムベンダーはビジネスにならない対象と見なして手を出しません。当然「チェーンストア管理システム」などといったパッケージソフトも存在しません。エクセルで集計する他、方法はないわけです。
そんなやっかいなチェーンストア社内の情報交換をエクセルを使って自動化に成功したのですが、先鞭を切ったのは商品管理部署ではなく管理部署で、人事部署のパート従業員さんでした。
制服管理の改革
改革前「制服管理」専任
「田中さん(仮名)を、制服管理担当に命じます」 「以上、よろしく」
この企業では、業務を一人分づつ切り離して個人へ丸投げする手法を長い間続けてきました。現管理者が思いついたわけではなく代々引き継いだ管理方法らしいです。だから任命側も任命される側も、問題意識を持っていません。
エクセルで悪戦苦闘
田中さんのエクセル集計法とは
①エクセルで「印刷用棚卸し台帳」を作成して、全店舗の事務担当へメール添付で送付。
②店舗は棚卸し台帳を印刷して、手書きで記入し、社内便で本社田中さんへ提出。
③本社田中さんは全店から返送された台帳を集めて、エクセル集計シートへ入力集計。
④集計結果を見て、在庫調整(過剰店舗から不足店舗へ移動)実施。
⑤結果を上司へ報告。
①~⑤まで1か月を要しますが、上司である人事課長は、田中さんへ任命した事と、⑤の報告をもらう事だけしか認識していませんから効率の悪いエクセル作業は続きます。
きっかけは100店舗越え
チェーンストアは10、50,100店舗越えのときに業務がマヒ状態に陥る、と言われていますが、このエクセル集計業務も例に漏れずフリーズ状態となりました。
この企業内で行われている他の報告集計もエクセルを使った手集計だったため、全エクセル業務が一斉に支障を来たす事態となり、毎週1回のエクセル教室が始まりました。
「業務改善力を身に付ける」ことをテーマにしたこの教室1人めの相談者が、制服担当の田中さんだったのです。
「送信」「集計」機能
エクセルフォームの仕様、見た目にはいっさい手を加えず、右上に「送信」「集計」ボタンを取り付けた結果、本部(人事)側と店舗側共に大きな効果がありました。
①本部(人事)は「集計」を押すだけで2週間かかっていた集計の自動化ができました。
②店舗はエクセル画面上に入力後「送信」するだけで報告できる、といった操作上の改善以上に、「集計」ボタンを押せば他店の在庫も共有できることになりました。その結果、在庫不足店舗は過剰店舗へ自ら移動依頼をすることで調達期間が短縮しました。
「送信・集計」機能をつけた印刷フォーム
「集計」ボタンで取り出せる集計結果
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